半世紀以上昔、ドカ弁やおにぎりを持った労働者のために、オヤっさんは濃い味付けでチャーシューのたっぷり入った、「よく噛んで」食べるおかずの中華そばを考え出した。昭和二十二年、終戦後のことである。噂に噂を呼び、富山祭りには千人もの行列を作ったこともあった。じいちゃんから、とうちゃん、孫へと、今や三代にわたり親しまれている大喜。富山県民ならば知らない者はいない。これも、流行に左右されないこだわりの味を頑固に守ってきたからだと自負している。